「I'm not in love(僕は恋してなんかいない)」
君なしでは生きられないくらい本当は大好きなのに、イイ大人がまるで思春期の少年みたいに強がってみせるこの歌詞の意地らしさ。
そして、電子音をこんなにも美しく使いこなしている楽曲は他にあるのだろうかと思ってしまう程の音楽。

「秋に聴きたい時代を感じさせる洋楽たち」と題して記事にしていますが、今日は僕にとって特に思い入れの深い大好きな曲です。
この季節に自然を眺めながらサイクリングをしていると、いつの間にか頭の中で勝手にこの曲が流れてきたりします。
僕にとって、無意識的に最高の癒しの曲になっているのかもしれません。


 
【 10cc / I'm Not In Love 】
Lyrics&Composition ; Eric Stewart&Graham Gouldman

I'm not in love
So don't forget it
It's just a silly phase I'm going through

And just because I call you up
Don't get me wrong
Don't think you've got it made
I'm not in love, no-no
It's because...

I'd like to see you
But then again
That doesn't mean you mean that much to me

So if I call you
Don't make a fuss
Don't tell your friends about the two of us
I'm not in love, no-no
It's because...

(Be quiet big boys don't cry)
(Big boys don't cry)
(Big boys don't cry)
(Big boys don't cry)
(Big boys don't cry)
(Big boys don't cry)
(Big boys don't cry)

I keep your picture
Upon the wall
It hides a nasty stain that's lying there

So don't you ask me
To give it back
I know you know it doesn't mean that much to me
I'm not in love, no-no
It's because...

Ooh, you'll wait a long time for me
Ooh, you'll wait a long time
Ooh, you'll wait a long time for me
Ooh, you'll wait a long time

I'm not in love
So don't forget
It's just a silly phase I'm going through

And just because I call you up
Don't get me wrong
Don't think you've got it made, ooh
I'm not in love
I'm not in love


【 10cc(テンシーシー)「アイム・ノット・イン・ラヴ」 1975年】

僕は恋してなんかいない
そのことを忘れないで
それは僕も成長過程で経験した ただの愚かな段階にすぎないさ

だから つまり その 君に電話をしているけど
誤解しないでほしい
ヤッター!なんて 思わないでほしい
僕は恋してなんかいないんだから ノーノー
なぜって・・・

君に会いたいと思う
でも そうは言っても
君が僕にとって そんな大きな意味があるとか
そういうことじゃないんだ

だからもし 僕が君に電話しても
大騒ぎしたりしないで
僕たち2人のことを 友だちにも話さないで
僕は恋してなんかいないんだから ノーノー
なぜって・・・

(静かにして 泣いてはだめ)
(大人の男が泣いてはだめよ)
(男が泣いてはだめ)
(男が泣いてはだめ)
(男が泣いてはだめ)
(男が泣いてはだめ)
(男が泣いてはだめ)

君の写真は ずっと
壁に掛けてある
そこについている汚れたしみを 隠してくれるから

だから その写真を返して欲しいなんて言わないで
君だって それが僕にとって
大した意味なんてないことぐらい 知っているだろう
僕は恋してなんかいないんだから ノーノー
なぜって・・・

ああ 君はずっと 僕のこと待ってくれている
ああ 君はずっと 待ってくれている
ああ 君はずっと 僕のこと待ってくれている
ああ 君はずっと 待ってくれている

僕は恋してなんかいない
そのことを忘れないで
それは僕も成長過程で経験した ただの愚かな段階にすぎないさ

だから つまり その 君に電話をしているけど
誤解しないでほしい
君のものになるなんて 思わないでほしい
僕は恋してなんかいないんだから ノーノー
なぜって・・・

僕は恋してなんかいないんだから
僕は恋してなんかいないんだから


「君には結婚を前提に付き合っている人がいるのだから、僕がこうして電話を掛けてしまうのがどんなにいけないことだか分かっている。君は心のガラス玉を割らなければいけないと言うけれど、それは本当にその通りだと思う。だけど、どうしても諦められないんだ。大人の付き合いをしている人がいるって僕が知ったのは、何しろ昨日のことだから・・・。」
「じゃあ、○○くんのこと、嫌いだって言えばいいんだ。わたし○○くんのこと、大っ嫌い。」
「アハ、アハハハハハァ・・・・・・。」
「アハハハハ。」

この曲が英語で何を言っているのか分からなかったからよかったものの、こうして訳してみると、何だか昔の自分を思い出してしまって、、、イケませんね。
もちろん、この詞の内容と僕の体験とはだいぶ違いますが、でもどことなく似たものも感じてしまう訳で・・・。(苦笑)

あの頃は、僕は友達からバンドの話を持ちかけられ、その友達の家に下宿をしながらオリジナル曲を制作したりしていたのだけれど、友達と喧嘩をして家を飛び出してしまい、その日は一日中どこへ行くあてもなくぶらぶらしていて、翌日になってこれでは流石に拙いと思い、運良くアパートを借りられたので、そこで何ヶ月かバイトをしながらひとり暮らしをしていたことがありました。
楽器一式を友達の家から運び出し、友達と話し合ってバンドの話はなかったことにして、アパートでひとりで作曲活動をしていました。

この曲は、そのアパートでよく聴いていました。
他にも、The Cardigans「Carnival」、Grover Washington, Jr.「Just the two of us」、Boz Scaggs「We're all alone 」、Procol Harum「A Whiter Shade Of Pale」なんて曲もよく聴いていたと思います。
FMで流れている曲をラジカセに録音して、好きな曲は何度も繰り返し繰り返し聴いていました。

因みに、そのアパートの最寄りの駅の次の駅には、前述した彼女(電話で会話した)のアパートがありました。
それは特に意識していた訳ではないのだけれど、いつの間にか・・・。
もう20数年前も昔の話ですが・・・。


題名もアーティスト名も分からずに、あの当時は僕はただ好きだから聴いていたに過ぎなかったのですが、この曲は実はThe BeatlesのPaul McCartney「Yesterday」やJohn Lennon「Imagine」に匹敵する影響力を持つとも言われるくらい、ロック史に残る名バラードだったのだそうです。
それは言うまでもなく、これまで誰も試みた事のない方法で作られたあのコーラスです。
あの壮大なバックコーラスは、一体どのように作られたのか?
当時の日本の音楽業界でも、様々な噂と推測に満ちていたそうです。

この曲はエリック・スチュワートが中心となり、グレアム・グールドマンの協力で書き上げられて、もともとはボサノバ風の曲調だったそうです。
それをメンバーのケヴィン・ゴドレイとロル・クレームが「つまらん」と一蹴。
しかしアルバム『The Original Soundtrack』のレコーディングを続けていたところ、スタッフが「I'm Not In Love」を口ずさんでいることに気付いたそうです。
エリックは「俺はグレアムの方を見て、あの曲がウケてるぜって言ったんだ。何だかよく分からなかったけど、もう一回やってみてもいいんじゃないかと思った。そしたらさっきまでこき下ろしてたケヴィンが思いついたんだ。『もっと違うやり方はどうだろう。曲全編を声で埋め尽くしてみないか』ってね」と語っています。(wikipediaを参照)

こうして極めて優美なサウンドは、エンジニアを務めたエリック以外の10㏄のメンバー3人のユニゾンを多重録音することによって創られました。
ユニゾンが多重録音されたテープは、半音ずつずらしたコード13音が16トラック分オーバー・ダビングされ、それを3人分重ね、艶やかな624人分のコーラスを収録したテープが用意されたそうです。
まだサンプラーが導入されていない時期に、このような多重録音されたループパーツを使用した大規模なポリフォニーで、メロトロンやビロトロンなどの音声再生機器装置で得られるようなコーラスを録音していたとは驚きです。
あのBilly Joel「Just the Way You Are(素顔のままで、1977年)」も、同様の手法で制作されたそうです。

エリックはこう語っています。
「我々はまず既についているコード進行を決めるために意見交換を始めた。我々は普通というのが好きじゃなかったから、普通のポップソングやボサノバにありがちなコード進行とは一線を画すコードにしようとしていた。そしてお互いにこれはどうだ? あれはどうだ?と取り留めもなく意見をやり取りして、何とか出口を見つけたんだ。
2人のミュージシャンがこうした方法で作曲するのは非常に生産的だった。普段私は鍵盤を使って作曲するのだが、「I’m not in love」は2本のギターで作った。そして皮肉な話だが、最終的なバージョンではギターがメインの楽器として使われず、コンソールにDIボックス(コンソールと楽器を電気的・音響的に最善の方法で接続するための機器)で直接繋いだギブソン335でリズムパターンを演奏するだけになったんだ。我々は、2~3日でこの作業を終了したな」

この曲のサウンドにご興味のある方は、こちらのサイトに行ってみて下さい。↓
大変詳しく書かれています。
I’m not in loveのサウンドの秘密 Entertainment Everyday ONE

それにしてもボサノバ風「アイム・ノット・イン・ラヴ」、聴いてみたいものです。
コード進行など、所々にちょっとボサノバが垣間見れるので何となく想像ができますが、ひょっとしたらそれがこの曲を名曲にした要因だったかもしれません。
ボサノバのフワッとした感じと多重録音で創られた壮大なポリフォニーのマッチングが、まるで夢を見ているかのような美しい音像を作り出していたということです。


アルバム 「The Original Soundtrack」に収められている「I'm Not In Love」は約6分という長い曲ですが、シングル・カットされた方は4分弱という短さになっています。
この動画はそのシングルなのかな?↓
電子音はここでは適度に押さえられていて、よりアコースティック的になっています。
アルバムの方はちょっとマニアック的ということで、こちらの方は一般的にしたのかもしれません。



それにしても、これは何時のPVなのだろう?
グラサンのエリックもギター弾くグレアムも、随分と貫禄があって・・・。
時代を感じます。。。
去年の1月、そして今年の3月にも10ccは来日したりしているので、今なお根強い人気を誇っているようです。
解散をして「これでは5ccだなんて」言われながらも、地道に活動を続けていたんですね。
すごいことです。

「I'm Not In Love」が収められているアルバム「The Original Soundtrack」のCDは、こちらから購入できます。↓
https://www.amazon.co.jp/Original-Soundtrack-10cc/dp/B000006U4N/ref=sr_1_2_twi_aud_2?s=music&ie=UTF8&qid=1477975081&sr=1-2&keywords=10cc+I’m+not+in+love

MP3ダウンロードはこちらから。↓
https://www.amazon.co.jp/Original-Soundtrack-10CC/dp/B00BK5ZTDW/ref=sr_1_2?s=music&ie=UTF8&qid=1477975081&sr=1-2&keywords=10cc+I’m+not+in+love
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シングル・バージョンは、SinglesのCDの中に収められています。↓
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B000062WMW?ie=UTF8&tag=haruuo2-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=B000062WMW
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